個別機器の電力使用量調査

現在は電力会社の電気メーターの積算値を読み取ることで、つまり電力会社が電気料請求の検針に使用しているのと同じ方法で、その区間での電気使用量を算出することをしています。

これだと、家全体での使用量の把握となりますが、個別の使用量まではわかりません。
もし、全体でみたときに何か理解しにくい状況が見受けられたときは、次には個々の機器がどのようなものかを調べたくなります。

でも、使用電気量の把握は結構大変なものですね。
最新の装置等を導入した最新の住宅であれば何のこともないことなのでしょうが、これまでの一般住宅では、全体での電力会社設置のメーターがひとつあるだけで、あとはブレーカーとかで小分けになっていてもメーターなんぞはついてないですね。
そもそも電力量を測ることすらなじみが薄いと思います。
最近はさすがに東日本大震災東京電力原子力発電所被災事故を契機とした節電意識の高まりから、そのような測定機器も出始めてはいるものの、なんともさびしい状態です。(放射線測定に関しても同じ状況といえるかな)

ちょっと逸れるかもですが自分は、クランプ式と言うテスタを使います。
ちょっと値段はするのですが、昔に興味があり、何とか交流電流を計測したいと、思い切って買っていたのです。
電流がわかれば、これに電圧の100をかけると電力量のワットが出ます。
ところがこの交流の電流を測るのが大変なのですね。
一般に電流を測るには、回路の中にメーターを直列に組み込みます。そして、そのメーターを通る電気の量を測るのです。
が、そうすると、ここに接続されている測定対象の機器に流れる電気が、このメーターにも全部流れる訳で、そうすると、このメーターでも電気を消費してしまい、肝心な機器への電力が減ることになります。もちろん、そのメーターでの消費電力量を小さくするようにはするでしょうが、測定対象の機器の使用電力量はものにより大きく違うために、どれにでも使えるようなメーターとなると難しい訳です。そして、メーターで電力を消費すると言うことはそこで熱を発生することになるし、100ボルトで大電流となると、接続時にアーク、火花が飛んだり、漏電や感電の危険も出てくるのです。

てな訳で、電気のテスターはいろんなものが売られているけど、交流電流を測れるテスターは普通には無いのです。
そこで、テスターの先端に輪っかのような形のものの付いたテスター、これが交流電流を測ることのできるものです。
図り方は、この輪の中に電源コードの片側のみを通して行います。(両方を通してしまうとだめです。打ち消しあってゼロになる)
そのために電源コードを2本に割いた形の延長コードを準備しておいて、測定対象の機器をこれを通してコンセントにつなぐと、後からいつでも、テスターでこの電線の片側を咥えることで測定を開始することができるのです。


と言うわけで、自分で電気機器の使用電力量を知りたければ、まず交流電流を測る(そして電圧をかけて電力ワットとする)。


ところで、この電流測定ですが、単純な機器、たとえば白熱電球や蛍光灯、ラジオ、とかは、電気使用量は常にほとんど一定。
だから、いつでも測ったときの値がそのままの電力量に相当します。
(これを1時間使用し続けると、そのまま時ワットになる)
しかし、冷蔵庫やクーラーは違います。
電力使用量が刻一刻(大袈裟に言うと)と変化するのです。
だから、あるときに測った結果が、そのままそれに使用時間をかけて使用電力量になるかと言うとそうではない。
測った瞬間の次の瞬間には違った使用量になっているかも知れないのです。
だから一概に使用電力量はいくらとは言えずに、カタログなんかには平均の電力量だったり、最大の電力量だったりすのです。
実際には使用の仕方や、設定の仕方、周りの状況によって複雑に変化するので単純には言い表せないのです。

こういったものは、こまかな状況測定と積算による平均値を出すしかないです。
これも難しいことです。
まず測定に関しては先ほどまで述べてきたような方法がありますが、これをどのように記録するかが大変です。
それから積算に関しては私もあまり詳しくはありません。
実際のところ、電気も勉強したのですが、磁気のからんだところは難しくて、何でも渦電流が発生すると力が発生し、円板なんかを回す力になるんですね。これを利用したのが現在各家庭に設置されている電力会社の電力計で、あの中で回転している円板がありますね。そして一周がわかるように一箇所に黒くしてある。
あの円板が、使用電力の量によって回り方の速度が変わってくる。
使わないときは回らないか、ゆっくりと回り、たくさん使っているときは、ぎゅんぎゅんと回る。
そして、あの円板の回転が10回になると、その上にあるメーターの一番小さい目盛りがひとつ進み、それが10個で数字がひとつ進み、そしてこの数字が9から0に変わるときに、その上(これがキロワット時)の数字が1進む、と言うわけ。
これの精度はそれなりのものだろうと信じているのだが、これが積算の結果であるのは驚きだね。

積算というと積分を連想します。
積分の考え方は、区間ごとの測定結果を積み上げること。その区間を限りなく小さくしていけば精度があがること、のようにとらえている。
しかし、現実的に「限りなく」は無理だし、そうでなくともかなり細かくも大変なものである。
(たとえば、今測定しているメーターの記録にしても、1時間に一度であっても1日では24個のデータになるし、これが1分に一度とすると実に24×60で1440個のデータになり、もし1秒に一度の測定とすると24×60×60で8640個のデータとなり、・・・記録、整理すら追いつかなくなってしまう。
それでもこの測定していない区間に瞬間的に発生したような事象はとらえることができないのかも知れないのである。

そう言ったところで、あの円板を備えた電力量計は、多分瞬間ももらさないものかも知れない。すばらしいものだと思う。


またまた、話は逸れっぱなしと言うか、だらだらと長くなってしまったので、この辺りで終わりにする。
尻切れトンボか。
次こそ個別機器の調査に入りたい。