青梅が安かったと買ったが、ハネモノ

最近、ハネモノなんて聞かない感じだが、選別外とか、選別落ちとかかな。
昨日、デパートの入り口で野菜とか地元産のようなものが売られていて、その中に青梅があった。
ちらと値段をみると、198円(税別)。
えっ!と思った。
何か、見間違いをしているのかなと。
今が節のもので、我が家でも先週辺りに梅漬けを仕込んではいるのだが、その梅は結構安くなく、1キロで1000円くらいするのであるが。
重さ当たりの単価かなと思ったりなのだが、よく見ても、1袋で、となっている。
その1袋は、だいたい1キロくらいかなと見た。(実際、後で測ってみたら1キロだった)

そんな買い物のつもりなく、天気が良かったことで、自転車でぶらりと所沢方面に向かい、それも車の多い道路はいやだと、川沿い(柳瀬川)を走ってみたところ、これがなかなか良くて、どんどん進んでいるうちに秋津の方まで行ってしまった。
所沢の先、狭山ヶ丘には姉がいることもあるのだが、それでもさらにそこから行くには帰りが大変と。電話だけして話をして、どうも相手のほうも都合というか、気持ちの調子も良くなさそうでもあり、もともと行けるとも思っていなかったし、でも気持ちよければ行っていたかも知れないが、でもそうでなくても家に帰ったのは夕方6時ころだったし、やっぱり行くのは無理だったろう。電話で話しもしたし、それで良かったとは思っている。

で、折角そこまで進んだので、もう少し先まで、所沢の駅辺りまで行ってみようと行ったのだった。
トイレを借りにデパートに入って、ぶらぶら帰ろうとしたところで、その梅に出会った訳で。
梅漬けはもう少し追加で仕込んでもいいかなとも思っていたし、だけど、妻ともここのところ気持ちがずれていたりしていることもあって、気持ちよく買っていくのに気持ちが邪魔をする感じもあったりで迷ったりしたのだが。自転車で長い距離を帰るのに荷物も嫌だなとか、実際、走るときの衝撃で梅が傷みそうで気持ちがさざめき、もうすぐ着くくらいになって今更だったのだが、ナップザックで背負うことにしたり、だった。

もう、買ってしまった話をしてしまったが、そうなのだ、やはり買ったのだ。
それも3袋。
1袋198円(税別)なら、それは魅力だね。
多少不良品が混じってても...

それが、多少の類ではなかったのだ!!!

一見では、それほどとも思わなかったのだが、いざ漬け込みをする段になって、洗ったり、ヘタを取ったりして準備を始めてみたら、ちょっとの汚れのようなものが、そう単純なものではないことに段々気づいてきたのだ。

ちょっと黒ポチのようなもの、包丁の角でえぐって、それでいいかと思っていると、中には、それが内部まで影響しているものもある。
黒ポチがポチポチと沢山のものもある。
黒ポチの大きさも形も見た目もいろいろだ。

なんと、すべてのものに、何らかの、何かがある。それがわかった。
これはどうみても、「ハネモノ」だね。
よく”不揃い”とか、無選別とか言うものはあるけど、すると、中には不良も混じってるだろう、くらいに思うのだが、これはとんでもない。そんなものではないことがわかった。
明らかに、選別されたもの。
その選別からハネられたもの。「ハネモノ」であることは明らかになった。
考えてみれば、自然の梅ノ木になる梅の実は、虫や病気も自然に会うこともあるわけで、いろんな状況があるだろう。
いい物もあれば何か不良のもの、またその中間やらランク分けに微妙なものと様々なのが当然だね。

それを買う前に、そのデパートの地下の売り場、いわゆるデパ地下ね、そこで見ていたのだ。
大きさ、形、綺麗さ、それが揃ってパックされている青梅を。
それは1キロなんてないようだったな。半分くらいかな(よくわからないけど)。それで1000円であった。
それを見ていたから、入り口にある198円は安いのだ。
でもその品質の違い、買ったやつは無造作にビニール袋に入れてあるだけ、ちょっと見には結構いいんじゃない、と思ったくらい。
しかし、後で思うと、その見た目の違いが商品としてはとても大きなことなのだな。ちょっと綺麗なだけ、とも思えるが。ちょっと中には上等とは言えないものがあると承知してのものとの違いが、わずかのくらいにしか思えないのだが、それがとてもとても大きいことなのだと貴重な体験をしたのであった。

それでも、その程度なら、ちょっと我慢すればいいじゃないか、安くて済むんだから、との声が聞こえるが、でも直面してみると、その考えが、作業を進めるにつれ、疑問が大きくなってきた。
疑ってみると、案の定、みたいに、悪いものが見えてきてしまう、目に入ってきてしまう。

汚れとかの問題ではないのだ。
虫にやられたとか病害にやられた類のものと理解した。
それが結果として、見た目に表れてきている。
「見た目がすべて」と最近の何かテレビでのことが当てはまるような。(人間でもそうなんだな、と。)
見た目に何か劣等のあるものは内部にも何かある、ことになる。
見た目をえぐり取ったとしても、それで全く問題が取れたことにはならないのである。
その影響がどこまで及んでいるか、わからないのである。

その辺りは、見た目でしかわからないのであるが、それでも、何個かは、内部まで見るからに何か影響されていて、ひどいのは内部が表面よりももっとひどい状態のものもある。
はじめは勿体無いと見た目のひどいところだけを除去で進めていたが、すべての物に何らかの異質があるわけで、それが物により程度の差でひどいものもありで、だんだん嫌になってきた。
だんだん廃棄の判断が早くなってきた。
いったんはいいかと、ちょっと手を入れてokとしたものも、また見直すことになったり。
また、色が黄色や赤に変わっているものなんか、はじめは、有る程度の熟したことによるものと思ってもいたのだが、そうすると、赤っぽいのなんかおいしそうにも思ったりだったのだが、だが、この現実を見てきて、考えが変わった。
この色の変化は熟したからなんかでは無い!!
不良の原因によって、熟す前に、傷んできていることだなと。
現に、それを探ってみると、内部の感じは良いとは言えない。
また大きさが他に比べて大きいものもあるのだが、形が変。
この形のおかしいのも、何か異変が原因していることがわかってきた。

これが、これらが、この3袋のすべてに言えることだった。
それらをひとつひとつ、包丁の角で、悪い、と思われる部分をえぐっては、この程度でいいだろうか、と思いながら、全部やるのは気持ちがつらくなってきたのであった。

削り取った部分もなかなかの量とおもうが、そのまま、あるいはちょっとえぐってみて、これはダメだなと廃棄袋行きもかなりあった。
全部で3キロのものがだいぶ減ったはずだ。

それでも、とにかく漬けた。
傷だらけの青梅。すべてが。
梅を漬けるとき、一部の梅には傷を付けたりして、早めに梅酢が出たりさせることもあるので、かえって早く漬かりやすいかとか逆のことで、慰めみたいなことで、思ったりもして。ちょっと悲しいね。

出費は少なかったことは確かだが、本当に安い買い物をしたのだろうか?
そのために余計な作業をして、そして、トクをしたとの思いは、どんどん崩れて、結局はマイナスになってしまったことはないだろうか?
けちで倹約と言うのはかわいそうなものと実感。
品質の良いものをそれなりの価格で(一般的には高いと思われる、つまり誇りを持って買えるくらい)買い物をするのがいいのだと思った。逆に動機が不純と言うような、安いものばかり(ただ金額が小さいだけで、その本来の価値と適正に評価できているか)みててはダメだなと。

全く貧乏人の悲しさ、サガを見たようだ、自分の中に。

自転車での散策は気持ち良かった。
次は、そんなことを題として書いてみたいものだ。