パルスオキシメーター

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http://www.masa.go.jp/res/files/resQnA/CRF/BGA.html

動脈血ガス分析

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血液の循環

体中をまわった血液(静脈血)は静脈を通って心臓の右心房にもどり,右心室をへて肺を循環します.この間に,血液は体内で発生した二酸化炭素を肺胞気中に捨て,空気中の酸素を受け取ります.こうして,再び酸素に富み,二酸化炭素の少ない動脈血となり,左心房→左心室をへて動脈を通って全身に血液は運ばれます.

動脈血ガス分析の正常値

私たちの体内では,血液は弱アルカリ性(pH 7.35〜7.45)に保たれるように肺や腎臓で調節されます.また,空気を吸っているときの酸素の量(酸素分圧;PaO2)は,90から100Torr(トール)で,二酸化炭素の量(二酸化炭素分圧;PaCO2)は,35から45Torrが正常とされています.血液中の酸素が足りない場合はもちろん,二酸化炭素の量が増えても,いろいろな障害が起こってきます.また,二酸化炭素が増えると血液は酸性に傾き,腎臓がそれを代償しようとしますが,許容範囲をこえると障害が起こってきます.

肺機能を反映する動脈血ガス分析

動脈血を採取して,血液のpH(酸性-アルカリ性度)や,酸素分圧,二酸化炭素分圧を調べることを動脈血ガス分析と呼びますが,これを分析することによって,呼吸状態や,代謝の状態を知ることができるのです.とくに,動脈内の血液は,肺を通過してきたばかりの血液ですから,動脈血の酸素や二酸化炭素の量は肺の機能をよく反映します.呼吸器疾患の患者さんにしばしばこの検査を行うのはこのためです.



ここに掲載した写真は,帝人株式会社在宅医療事業部門が企画製作した「見てわかる呼吸リハビリテーション」から,許可を得て使用させていただいています.

 

酸素分圧と酸素飽和度の違い

動脈血酸素飽和度(サチュレーション;SaO2)というのは,酸素の運搬を行うヘモグロビン(Hb)のうち酸素に結合したヘモグロビンが何%を占めるかを表したものです.したがって,最高でも100%です.正確には血液ガス分析で測定しますが,パルスオキシメーターという器械を使って,簡単にベッドサイドでも測定することができます.指に赤い光を発する測定端子(プローブ)をつけると10秒程度で測定可能です.

一方,動脈血酸素分圧(PaO2)は血液中にとけ込んでいる酸素の量を分圧(Torr)で表したもので,二酸化炭素分圧(PaCO2)は血液中にとけ込んでいる二酸化炭素の量を分圧(Torr)で表したものです.(100Torrをこえることもあります.)したがって,酸素飽和度(サチュレーション;SaO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)は,異なるものです.しかし,酸素分圧と酸素飽和度の間には下図に示す通りの対応があるため,酸素飽和度を知ることで,酸素分圧を推定することができます.



それでは,動脈血ガス分析をしなければならないのはなぜでしょう?

パルスオキシメーターを使えば,酸素分圧が推定できるのに,わざわざ針をさして動脈血を採取するのはなぜかというと,血液のpH(酸性-アルカリ性度)や,二酸化炭素分圧を調べるためです.この検査は,今のところ血液を採らないとわかりません.とくに,慢性呼吸不全の患者さんの中には,二酸化炭素が貯留し,血液が酸性に傾く傾向がある方がいらっしゃいます.この場合,酸素だけをモニターしながら治療するだけでは片手落ちになります.