日経新聞より、嚥下障害

日経新聞2013年1月12日(日)朝刊より
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嚥下障害(2)
誤嚥性肺炎を繰り返す例も

 都市を重ねたり病気になったりして食べ物や飲み物、唾液を飲み込む機能が衰える嚥下(えんげ)障害で、最も注意しなければならないのは「誤嚥性肺炎」です。食べた物が食道ではなく気管に入ってしまい、細菌が肺で炎症を引き起こします。唾液が気管に入って起こることもあります。
 肺炎は体外の細菌やウィルスに感染しておこると考えている人も多いでしょう。確かにこの仕組みで発症する場合もありますが、免疫力が弱くなった高齢者では、誤嚥性を原因とする肺炎がはるかに多いと考えられています。
 誤嚥性肺炎は食事をとることが原因とは限りません。胃の中にたまっている物が食道を遡って喉へと逆流し、肺に入ることが起こります。高齢者では寝ている間にこの症状を繰り返し、肺炎になったり、胃液によって気管の粘膜を傷つけてしまったりします。
 粘膜が傷つくと、なかなか元に戻りません。粘膜の感覚が鈍くなり、誤嚥してもむせたり、咳をしたりするといった反応が起こりにくくなります。その結果、誤嚥性肺炎を何度も繰り返すケースが見受けられます。
 高齢者が肺炎になると回復も遅くなりがちです。体力を消耗してしまい、他の病気にかかったり、寝たきりになったりする危険性が増すという悪循環に陥ります。