ミンミンぜみを捕まえた

夕方、近くでミンミンゼミの鳴き声が聞えてきた。
近いなと思いながら、でもそれほどでもないだろうと考えていた。
娘がいて、と言っても、いい歳をしたのだが、それでも話しかけてみた。蝉をとりに行こう、と、
案の定と言うか、乗ってこないし、自分で向かってみる。

外に出てみると、近そうだがどこかわからない。
でもかなり近いところで聞える。
やっと見つけた。
庭木の低いところ、地面から30センチくらいのところ。
気付いたときは、鳴いている蝉の上から覗きこむ位置になっている。
それでも蝉はまだ鳴いている。

さあて、どうしたものか。
そうっと手を伸ばし、しかし相手からも十分見えている位置である。
あるところで、そのまま捕まえにいった。
当然、逃げる。
微妙なタイミングで手に当たり、そして、つかまらなかったが、バランスを崩し、斜め下に。
そこには猫が歩きにくいように、プラスチックであるが針がたくさん上に突き出したようになったものを敷きつめてあるのだか、そこの間に落ちて、そして羽も動かせなくなって逃げられなくなっている。

それで難なく捕獲となった。
いやー、それから鳴くわ、鳴くわ、がんがん鳴く。こんな元気のいいものを捕まえたのは久しぶりである。何十年ぶり、子供のころ以来か。
手の中でそっと動けるようにしていたところ、後ずさりしたりしながら、おとなしくなった。
それから娘の肩の前に添えたら、移っていった。つかまって少し歩いたりしている。

それから娘が外に行って、蝉を留まらせたまま、しばらく、すぐだが、戻ってきた。
その後、すぐに、静かに、飛んで行った、そうだ。

ちょっとした、蝉とのふれあいであった。
蝉にとっては恐怖だったろうが。